ここには、
湯気のようなものが
空高く立ち上がっていた。
思い当たる節はいくつかあった。
一つ目は、まだよくみえないという
雲の中にいるような感覚だ。
前の世界では、
誰のためかわからないルールに縛られ、
毎日が、何かに追われるばかりで、
あっという間に
すぎさってしまっていた。
味わう時間なんてほとんどなかった。
だから、この場所へと引越してきたのだ。
2つ目は、
自分たちのカラダからでる熱気だ。
それは、
これからは、ほんとうにすきなことだけをして、
自分たちなりの
毎日のモノガタリをつむいで
おいしい、まずいだけじゃなく、
できるかぎりしっかり味わいたいという決意
のようなものかもしれない。
そして、3つ目は、
いま、つくったとびきりの料理だ。
ご近所さんに、挨拶がわりに
自分たちが、”おいしい”と思う、
できたての料理をせっせっと
つくっていたのだ。
粉をこね、具を包み、あつあつの餃子を焼き上げ、
おいしそうな匂いとともに…
そんな白い湯気が入り混じって、
ふわりと周囲へ広がっていく。
気づけば、
窓の外には森の小人のご近所さんたちが、
楽しそうに集まってきていた。

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